レバレッジ投資は大きな利益を得られる反面、暴落時は市場から退場せざる負えない程の痛みを伴うダメージを与えてくれます。上昇相場ではレバレッジを掛ける方がいいといいますが、内容によります。レバレッジ投資の本質を捉えつつ、市場から退場しないにはどうすればいいのか。米国の王道の代表指数であるダウ平均株価に10年前にレバレッジ投資していた場合、いくらの利益になったのか。2倍、3倍、4倍のレバレッジを掛けた場合、コロナショックを含めて現在までをシミュレーションしてみたいと思います。
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1.レバレッジ商品の特性
まずはレバレッジ商品の特性について。レバレッジ商品はレンジ相場(上昇、下降を繰り返す相場に弱い)と言われています。したがってレバレッジ投資は長期投資には向いていないといわれています。
レンジ相場をシュミレーションしてみます。
100万円投資した場合のシュミレーションです。基準価格が1%下がり、また元の価格に戻る。これを50回繰り返した場合、元本がどのように変わるのか。
50回株価が上下を繰り返した場合、レバレッジ無の資産は基準価格が変わっていませんがレバレッジ比率が大きいほど、上下運動を繰り返すほど基準価格との価格が乖離し、元本割れが大きくなっていきます。
これは単純な話で仮に10%下落したら基準価格は100万円→90万円になりますが、レバレッジ2倍だと80万円になります。次の日に10%上昇したらレバレッジ無は90万円×1.1=99万円、レバレッジ2倍は80万円×20%=96万円となり、基準価格よりも元本割れする結果となります。
これがレバレッジ商品が長期投資に向いていないといわれる所以です。
逆に3日続けて10%上昇し続けた場合は、
レバレッジ無 100万円×1.1=110万円 110万円×1.1=121万円 121×1.1=133.1万円
レバレッジ2倍 100万円×1.2=120万円 120万円×1.2万円=144万円 144万円×1.2倍=172万円
上昇相場が連続するとレバレッジの倍率が2倍、2.1倍、2.18倍へと上昇率が上がっていきます。
仮に10%の上昇が10日間続いたと仮定すると
上昇相場が続けばレバ無が2.36倍、レバ2倍が5.16倍、レバ3倍が10.60倍、レバ4倍が20.66倍と指数関数的に資産が増え、レバレッジ投資が有利になります。逆に暴落が続けば指数関数的に資産が減っていきます。
上昇相場が続けばレバレッジの破壊力は飛躍的に伸びていきますが、長期投資では上昇に大きく偏るような相場はあまりなく、上下を繰り返し上昇していくレンジ相場が多いので、レバレッジ投資は不利になるといわれるのです。では過去に起きた実際の値動でシュミレーションをしたいと思います。
2.ダウ平均株価でのレバレッジ投資のシミュレーション
長期投資では不利と言われているレバレッジ投資ですが、上昇する可能性が極めて高く、下降より上昇の方が多い投資商品に投資した場合は、レバレッジを掛けた方が有利になります。10年後、20年後を見据えて伸びる産業・セクターに今レバレッジを掛けて投資しておけば、大きな利益が見込める可能性があります。仮に10年前にレバレッジを掛けて投資していた場合、今現在どうなっていたかシュミレーションしてみます。過去10年間の実績からみると、ダウ平均株価は2.51倍大幅な上昇をしました。
レバレッジ2倍でのシミュレーション
10年間での利益のシミュレーション
2012年5月3日~2022年5月3日にかけてのシュミレーションになります。
ダウ平均株価 基準価格13206.59 → 13206.59 2.51倍
レバレッジ2倍 基準価格13206.59 → 61948.67 4.69倍
レバレッジ無で2.51倍、ありで4.69倍であり、10年間という長期間で見ると、レバレッジ無とくらべて1.87倍のパフォーマンスを出しています。
ただ、本来のレバレッジ2倍の数値に達しておらず、レンジ相場での基準価格の減少効果を受けていると思われます。
コロナショック時のシミュレーション
過去10年で最も下落したコロナショック時の最大下落幅(2020年2月14日→3月23日の間)でのシュミレーション結果は
ダウ平均株価 基準価格29551.42 → 18591.93 -37.09%
レバレッジ2倍 基準価格58206.61 → 21316.68 -63.38%
コロナショックでは大幅な下落をしており、レバレッジ2倍投資では基準価格の2倍を割る結果となっています。1.14倍にしかなりませんでした。まずはレバレッジ無よりも価格が下がらず良かったとしたいところです。
※参考 コロナショック時の下落率 NASDAQ100:-27.90% S&P500:ー33.81%
レバレッジ3倍でのシミュレーション
10年間のシミュレーション
ダウ平均株価 基準価格13206.59 → 13206.59 2.51倍
レバレッジ3倍 基準価格13206.59 → 61948.67 6.48倍
レバレッジ無で2.51倍、3倍で6.48倍であり、10年間という長期間で見ると、レバレッジ無とくらべて3倍では3.01倍のパフォーマンスを出しています。
レバレッジ3倍は、レバレッジ無に対して3倍のパフォーマンスを維持できませんでした。
コロナショック時のシミュレーション
過去10年で最も下落したコロナショック時の最大下落幅でのシュミレーション結果は
ダウ平均株価 基準価格29551.42 → 18591.93 -37.09%
レバレッジ2倍 基準価格58206.61 → 21316.68 -63.38%
レバレッジ3倍 基準価格100922.24 → 19956.27 -80.52%
コロナショックでは大幅な下落をしており、レバレッジ2倍投資では基準価格の1.14倍、3倍では1.07倍にしかならず、2倍と3倍の価格が逆転してしまいました。基準価格で37%の下落を記録すると、レバレッジが高いほど下落の影響が大きくなり、諸刃の剣になることがわかります。
レバレッジ4倍でのシミュレーション
10年間のシミュレーション
ダウ平均株価 基準価格13206.59 → 13206.59 2.51倍
レバレッジ3倍 基準価格13206.59 → 61948.67 6.48倍
レバレッジ4倍 基準価格13206.59 → 61948.67 6.44倍
レバレッジ4倍では10年間のシュミレーションではレバレッジ3倍のリターンを下回り、逆転する現象がおきています。
コロナショック時のシミュレーション
過去10年で最も下落したコロナショック時の最大下落幅でのシュミレーション結果は
ダウ平均株価 基準価格29551.42 → 18591.93 -37.09%
レバレッジ2倍 基準価格58206.61 → 21316.68 -63.38%
レバレッジ3倍 基準価格100922.24 → 19956.27 -80.52%
レバレッジ4倍 基準価格153788.19 → 14227.75 -90.75%(レバレッジ無を下回る)
レバレッジ2倍投資では基準価格の1.14倍、3倍では1.07倍にしかならず、2倍と3倍の価格が逆転しはじめます。4倍になるとさらに下落が進行し、基準価格よりマイナスになることがわかりました。30%を超える暴落が起こると、レバレッジ4倍はレバレッジ無に敗北する可能性がある結果となっています。レバレッジ投資の恐ろしさを垣間見てしまいました。
まとめ
ダウ平均 過去10年のシミュレーション結果
過去10年間伸び続けたダウ平均(約2.51倍)に投資した場合、現時点までの結果を見るとレバレッジは3倍まで掛けた方が正解という結果に至りました。10年間で2.51倍のリターンがある資産では、レバレッジ4倍までの領域に行くと、30%超の下落が起きた場合、元本割れの可能性が十分にあることと、4倍をかけるメリットがなくなりますので、十分な注意が必要です。※世界恐慌時は基準価格が80%下落したといわれています。レバレッジ商品の価値は殆ど無くなっていたでしょう。
過去10年間のダウ平均株価のパフォーマンス
レバレッジ無 2.51倍
レバレッジ2倍 4.69倍
レバレッジ3倍 6.48倍
レバレッジ4倍 6.44倍
レンジ相場のダメージ+コロナショックでの加速度的な価格の減少効果によって、価格がなかなか元に戻らず、レバレッジ4倍でも3倍程度のパフォーマンスになってしまっています。
レバレッジを掛ける基準について
ダウ平均株価の過去の実績から、基準価格で10年間で2.5倍程度の好成績を上げられる分野であり、コロナショック程度の暴落であれば、レバレッジ3倍でも長期投資に十分なリターンを得られると考えられます。レバレッジ2倍くらいに抑えておけば、2倍程度の上昇でも十分な恩恵を得られると思います。しかしながら10年スパンの長期投資でも、2.5倍になる資産であればレバレッジ無に比べ、レバレッジを掛けた方が利益が出るという結果になりました。
※ちなみにNASDAQ100は過去10年間で基準価格が4.84倍になっており、コロナショックでも30%以下の下落だった場合はレバレッジ4倍でも4倍以上の効果が発揮されています。(過去記事参照)
短期的な未来、明日や明後日の価格の上下を予測することは非常に難しいですが、10年スパンでの長期的な視点で見た場合、どの分野が伸びるのか、価格が上昇するのか考えることの方が容易であると思います。確実に伸びる、上昇し続けると確信がもてる分野に投資する場合に限り、レバレッジを掛けるのは正解かもしれません。
※S&P500とNASDAQ100のレバレッジ投資のシミュレーションについては別記事をご参考ください。
レバレッジ商品の例
ダウ平均株価に関連するレバレッジ商品は以下です。
3倍レバレッジ商品 NYダウ・トリプル・レバレッジ
今回のシミュレーションは手数料は計算されていません。これらの商品は年利数%程度の手数料が発生しますので注意してください。
暴落に耐えられる比率でポートフォリオを組む
上昇相場が続いてもとてつもない大きな暴落が起きた場合に、価格が限りなく0近づく可能性があるため、元本割れをする、2度と元に戻らない価格まで下落する場合を考慮しておかなければなりません。最悪の場合を想定し、自分の許容できる範囲(破産しないレベル)で投資するのであれば、レバレッジ投資は利益を最大限発揮できる強力な選択肢であると思います。もし暴落が始まってしまったら、全部売るのではなく、投資した資金分だけはとりあえず一部売却して確保したり、暴落時に買い増ししておくのも選択肢の一つだと思います。レバレッジ投資は暴落時のリスクを避けることが特に重要なのです。
中にはレバレッジを掛けて全力投資されている猛者がいますが、私のメンタルではとても耐えられないので、レバレッジ投資枠は自分が許容できる金額をあらかじめ決めてから実行しています。投資では市場から退場せず、長く居続けることがもっとも重要な事なのです。
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