市場に関する原則。株の価値(本質的価値)とその差
前回は、「財務に関する原則」を書きました。今回は最後になりますが、「市場に関する原則」についてまとめます。
まずはおさらいとして、バフェットの12の原則について以下に示します。
1.ウォーレン・バフェットの12の原則について
事業に関する原則
・シンプルで理解出来る事業か
・安定した事業実績があるか
・長期的に明るい見通しがあるか
経営に関する原則
・経営者は合理的か
・株主に素直に話せる経営者か
・組織の習性に屈しない経営者か
財務に関する原則
・一株あたりの利益ではなく、自己投資利益率を上げようとしているか
・「オーナー利益」を考えているか
・利益率の高い企業を探しているか
・1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか
市場に関する原則
・事業価値はどれくらいか
・その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か
以上の原則があり、当てはまる企業をバフェットは買います。
今回は最終項の「市場に関する原則」についてです。
株価は市場で決まります。事業の本質的価値は企業の事業、財務、経営を調べて分析した結果、その情報を評価して決まります。
株価と本質的価値が効率的であれば、情報によって価格は瞬時に調整されるがそうはなりません。
人間の感情が入るから常に効率的にはならないのです。
合理的な投資には、2つの原則があります。
①事業の本質的価値はどれくらいか
②その事業を本質的価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か。
本質的価値の計算方法
本質的価値の求め方には様々な手法がありますが、バフェットが使う手法を紹介します。
本質的価値(現在の企業価値)=オーナー利益÷リスクフリーの金融資産(長期米国債)の利回り
※オーナー利益=①純利益+②減価償却費ー(③設備投資費+④予想される追加運転資金)
(※③と④は企業を運営していくにあたって、必要な設備更新費など必要経費)
となっています。
それでは実際に、計算してみます。計算には5つの項目を設定しなければいけません。
①オーナー利益
例:オーナ利益=1000万ドル
※オーナー利益の算出は難しいのでフリーキャッシュフローに置き換える場合もアリだそうです。フリーキャッシュフローは、簡易的に(営業CF−投資CF)と求める場合もあります。
フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー - 投資キャッシュフロー
※営業キャッシュフローと投資キャッシュフローは決算書を読めば書いてあります。
②割引率
10%とする。 ※バフェットが過去につかっていた米国債長期利回りは、現在2%と低すぎますので、投資家の期待リターンを入れます。10%のリターンがほしければ、10%を使用します。
③発行済み株式数
500万株としてみます。
④ 1株あたりオーナー利益(フリーキャッシュフロー)
1000万ドル(オーナー利益) ÷ 500万株(発行済株式数) = 2ドル
現在、1株あたり、2ドルのキャッシュフローを生み出している。
⑤先々の成長率を推測
過去の実績から、5年間で平均10%ずつキャッシュフローが成長している。
今までが成長しすぎていると考えて、今後の成長率は1~5年目は7%、6~10年間目までは4%、 11年以降は2%とする。安全方向に考える。
計算方法
1株あたりのフリーキャッシュフロー2ドル 成長率7% 割引率10%と仮定する。
本質的価値=フリーキャッシュフローの現在価値の累積 + フリーキャッシュフローの永続的価値
となります。
1年
①(1株あたりのキャッシュフロー)=2ドル✕1.07(成長率7%)=2.14ドル
②(キャッシュフローの現在価値)=2.14ドル÷1.1(割引率10%)=1.95ドル
同様の計算をしていく。
2年 2.14✕1.07の2乗=2.29ドル 2.29÷1.1の2乗=1.89ドル
3年 2.29✕1.07の3乗=2.45ドル 2.45÷1.1の3乗=1.84ドル
4年 2.45✕1.07の4乗=2.62ドル 2.62÷1.1の4乗=1.79ドル
5年 2.62✕1.07=2.81ドル 2.81÷1.1の5乗=1.74ドル
6年 2.81✕(成長率4%に変更)=2.92ドル 2.92÷1.1の6乗=1.65ドル
7年 2.92✕1.04の2乗=3.03ドル 3.03÷1.1の7乗=1.56ドル
8年 3.03✕1.04の3乗=3.16ドル 3.16÷1.1の8乗=1.47ドル
9年 3.16✕1.04の4乗=3.28ドル 3.28÷1.1の9乗=1.39ドル
10年 3.28✕1.04の5乗1.02=3.41 3.41÷1.1の10乗=1.32ドル
11年目以降 永続的価値(成長率2%に変更 割引率10%)
永続的価値=最終年度のフリーキャッシュフロー×(1+成長率)÷(割引率-成長率)
11年目以降の永続的価値=3.41✕1.02÷(1.1(10%)- 1.02(2%))=43.48 43.48÷1.1の11乗=15.24ドル
本質的価値=フリーキャッシュフローの現在価値の累積 + フリーキャッシュフローの永続的価値
=(1.95+1.89+1.84+1.79+1.74+1.65+1.56+1.47+1.39+1.32)+15.24
=31.84ドル
現在の株価が31.84ドルよりも安ければ割安となる。仮に現在の株価が20ドルならば、11.84ドルの差があり、約37%程度割安ということになる。(本質的価値)-(現在価格)の差が大きければ大きいほど割安になります。
割安になればなるほど、投資のリスクが減っていくのです。
将来のフリーキャッシュフローについて
本質的価値を求める計算で使用する成長率、将来のフリーキャッシュフローがどうなるのかを決定することが一番の難しさだと思います。
バフェットは、
①予測可能な利益を安定して生み出している企業に投資するべき。
②事業がシンプルで理解できるもので、収益性が安定していれば、高い確率で将来のキャッシュフローを予測できる。
といいます。
もし予測が容易にできないような企業であれば、投資する対象から外すべきだと。
そしてバフェットはこのように総括します。
「投資家が価値のあるものを買い、その結果、投資に対して本当に価値を得ることができているかどうかは、キャッシュフローを現在価値に割り引いた価値から考えて、もっとも割安なものを買っているかで判断すべきだ。企業が成長しているか、ボラティリティが高いか、あるいは利益の変動が大きいかどうか、PERやPBRがどうかなどは、まったく関係ない」
魅力的な価格で買う
投資を成功させるには、有売な価格で買い、企業が期待通りの業績を上げる必要があります。
投資で過ちを犯す場合は3つあり、
①価格が高すぎる価格で買った。
②経営者を見誤った。
③事業の将来性を読めなかった。
のいずれかであるといいます。
最も誤りやすいのは、③事業の将来性であるとバフェットはいいます。
そこで、「安全なマージン」を大切にします。
株価と本質的価値の間に十分な差があるときのみ買う。少しの差であればバフェットは買いません。企業の価値が少しでも下がれば、遠からず株価も下がり、購入価格を下回る可能性があります。十分な差があれば、本質的価値が下がっても、リスクは小さくなるからです。
まとめ
本質的価値を求めることは難しいと言われます。将来性を見抜く力が必要になってくるからです。
バフェットは将来性を予測しやすく安定した企業に投資すれば良いと言います。だから事業がシンプルで自分が理解できるものに投資しなさい。というのでしょう。
投資したいが、どうしよう。そんな企業があれば、本質的価値を計算してみると良いでしょう。
今回でバフェットが事業を買うときの12の原則は終わりです。バフェットはこれらすべてを徹底的に分析し、投資することによって巨額の利益を上げているのです。
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