ウォーレン・バフェット12の原則 その③ 財務に関する原則

ウォーレン・バフェット 財務に関する原則

 

前回は、経営に関する原則を書きました。今回は「財務に関する原則」についてまとめます。

まずはバフェットの12の原則について以下に示します。

1.ウォーレン・バフェットの12の原則について

 

事業に関する原則

・シンプルで理解出来る事業か

・安定した事業実績があるか

・長期的に明るい見通しがあるか

 

経営に関する原則

・経営者は合理的か

・株主に素直に話せる経営者か

・組織の習性に屈しない経営者か




財務に関する原則

・一株あたりの利益ではなく、自己投資利益率を上げようとしているか

・「オーナー利益」を考えているか

・利益率の高い企業を探しているか

・1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか

 

市場に関する原則

・事業価値はどれくらいか

・その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か

 

以上の原則があり、当てはまる企業をバフェットは買います。

 

今回は第3項の「財務に関する原則」についてです。

財務に関する原則

バフェットの財務の原則については、1年ごとの業績はあまり気にせず、5年平均を見ます。一年ごとだとバラツクので、長期的な平均値で見なければいけないということです。

 

①一株あたりの利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

バフェットは企業の年間業績を1株あたりの利益(EPS)で判定してはいけないと考えている。

EPS(1株当たりの利益)=当期純利益÷発行済株式総数

当期純利益を発行済株式総数で割った値で計算されます。

利益を使わず内部留保すれば、自己資本と一緒に上がってしまうからです。これでは利益を効率よく使い、成長する企業とは言えませんよね。

バフェットはそれよりも自己資本利益率(ROE)を重視しなさいという。

自己資本利益率とは企業が自己資本を効率的に使って利益を出したかを表す指標です。

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

自己資本利益率が高い会社は、投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社として見ることができます。逆に、自己資本利益率が低い会社は経営効率悪い判断されます。

一般的には、自己資本利益率が10%を超えて入れば、優良企業とされています。

しかしこの数値は借金しても上がってしまうというデメリットがあります。

バフェットは借金に頼らなくても、十分に成果を上げられる企業に投資しなさいといいます。

しかし、バフェットは借金を嫌っているわけではありません。本当に必要になった時に借りるよりも、先を見越して借りておいたほうがよいと考えています。買収のチャンスなどで使える資金は事前に用意しておき、高金利のときに借りるよりも、低金利の時に事前に借りておくのが、株主の利益を損なわないと考えている。

バフェットは優良企業は借金をしなくても自己資本利益率を上げられるはずで、借金に頼って自己資本比率をあげている企業は疑ってかかりなさい。といっています。




②オーナー利益を考えているか。

企業にとって重要な現金をかせぐ力、キャッシュフローがあります。バフェットは通常のキャッシュフローの数字ではなく、オーナー利益という考え方を好んで使います。

オーナー利益=(純利益+減価償却費)-(予想される設備投資と追加運転資金)

であらわされます。マイナスされるのは予想の費用なので、正確ではないのですが、それで良いとバフェットはいいます。

すなわち、企業からアウトプットされる「本当に使える現金」を把握して評価しなさいということでしょう。

※減価償却費とは設備を買った時に出ていったお金を全額経費には計上されず、その設備の耐用年数(例えば500万で5年なら毎年100万円ずつ計上)で割った金額になります。減価償却費は、実際にはすでに最初に払っているので、現金としては出ていかない金額です。経理上のこの考え方で本当に企業にある現金が変わってしまいます。

 

③利益率の高い企業を探しているか。つねに利益を上げる努力を惜しまない。

利益を上げるためには全てがコスト管理だと言われます。

高いコストになれた経営者は、コストを増やす方法を考え、低コストで事業を行う経営者は、コストを削減する方法を探します。

凡庸な経営者は、経営が悪化するたびにすぐリストラを計画し実行します。

バフェットは言います。

「本当に優れた経営者は、朝に目を覚まして、今日こそはコストを削減するぞと思ったりはしない。それはまるで、目を覚まして、今日こそ息をするぞというようなものだ。」

優れた経営者は、あくなきコスト削減に取り組みます。例として、

ウェルズ・ファーゴ: カール・ライトカートとポール・ヘイゼン、キャピタル・シティーズ

キャピタル・シティーズ/ABC:トム・マーフィーとダン・パーク

をあげます。

彼らは必要以上の人員を抱えることを非常に嫌い、過去最高の利益のときも、コスト削減のプレッシャーが強いときも、常に同じようにコスト削減に取り組んできた」と称賛を惜しみません。

バフェットの会社、バークシャー・ハサウェイも一般管理費が同等の企業の1/10である。

法務、広報、IRなどの部署をもたず、MBA取得者が集まってM&Aを練る戦略企画部もない。必要以上の人材は一切抱えないのだ。

必要最小限の人数で経営しているのでしょう。




④1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか

内部留保を1ドルして、1ドル株価が上がらなければ、ただの貯金と変わらないのでしょう。バフェットが言いたいのは、1ドルを使って1ドル以上の価値を上げなさい。内部留保した資金を企業価値を上げる投資に使わなければ、内部留保には何の意味もないということでしょう。

 

まとめ

・一株あたりの利益ではなく、自己投資利益率を上げようとしているか

・「オーナー利益」を考えているか

・利益率の高い企業を探しているか

・1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか

以上のように、優良企業の条件は、コスト意識が高く、効率的で生産性が高いことが特徴です。

上記の財務基盤が出来ていて、はじめて投資する価値があるのです。

 

前回記事はコチラ

ウォーレン・バフェット12の原則 その② 経営に関する原則

ウォーレン・バフェット12の原則その① 事業に関する原則

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